1023年 夏②

・1023年8月 拳法家 つぼみの日記

ようやく七本の髪を全部倒し終わったので、久しぶりに日記を書くことにした。
獅央にはよく「三日坊主どころか気が向いた時にしか書かない物なら日記とは言えません」って言われるけど、いいんだもん。

嬉しいことや辛いことがあった時、こうやって思ったことを書き残しておくと気が紛れるんだ。
代々の当主様達だってこうやって書くことで気を紛れさせていたんじゃないかな。
(あ、くるみ様は記録があんまり得意じゃないみたいだけど)←内緒ね

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今朝になってイツ花サンから地獄の入り口が現れたと報告があった。

あいつの言ってたことが正しいなら、きっとあそこが最後の迷宮になるんだ。
くるみ様が「地獄と試合、どちらに向かうか」って悩んだのを見てすかさず獅央が「地獄でしょう!地獄の奥から宝物を頂く方が、帝から褒美を少々もらうよりいいに決まってますよ」って言い出した。

弟が強く自分の希望を言うなんて珍しいと思っていたら、その後「話があります」と蔵に呼ばれて昔の書付を見せてくれた。

四代目当主だった龍月様が、イツ花サンの話の要点をまとめてくれた物だった。



獅央が言うには「これが事実なら、当主様や母上は他の一族よりも寿命が短い可能性がある」って。

一日でも早く呪いを解かないと間に合わないかもしれないって。

…戻ってこれるかもわからない地獄に行くことや、待ち構える黄川人のことを考えると今だって震えて字がうまく書けないくらい怖い。

でも、ぜったい呪いなんかにお母さんたちを連れて行かせない。
ご先祖様、天の神様…誰でもいいから、どうか私たちを護ってね。

虚弱の可能性があるって気づいても、くるみとすももだと「それならそうなった時の話さね!」ってあんまり気にしてくれなさそう。
だから「なんとしてでも間に合わせる!」って誓ったのはつぼみと獅央だったんじゃないかな。

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それでは今月の地獄ミッション開始します!

目標は優先度順に「太照天ゲット」「能力値アップの薬集め」「壱与姫ゲット」「大甘露も集める」のフルコース。
特に太照天ドロップは必須。貯めてきた時登りの笛もあるだけ吹いて修行するのも忘れずに。

他にもひとつ「とっておきの大目標」も考えていますが、それはまた追々。


魅惑の地獄巡りゴージャスてんこ盛りツアーって感じの荷物です。



さっそく地獄に潜り込み、脱衣婆&船に挑みます!

…が、期待していた壱与姫を落とさないため怒った桃&桃がボッコボコに大暴れを(自主規制)です。
スピーディー過ぎてごめんBBA。


しかし地獄のカツアゲ婆相手でもこのダメージが出せるなら、奥に進んでも十分戦えそう。

ボロボロのヨレヨレになった渡し船で向かう地獄は氷雪針地獄一択。
足ウジャウジャの憎きアイツが落とす、太照天の巻物を狙います!


…って、太照天チラ見せかーい!!



更に獅央に容赦ない打撃!


巻物の出し渋りをしたうえ、息子に強烈な打撃をかました足ウジャウジャに対してすももがブチンと怒髪天状態に…!


…からの記憶がありませんが、気づけばヤツは静かに地獄の底に沈んでました。

どうやら怒りで我を忘れていたようです(ホントは焦りすぎてスクショ全然撮れてませんでした。ごめんなさい。ム◯デ嫌い)。

うーん、ここでも目標の太照天を取りそこねてしまった。
最終戦にこの術だけはホント必須なので、持ち帰れないと計画は台無しなんだよ。


こうなったら修羅の塔六界に陣取って、次のチャンスを待たなければ!

茨城大将はボスにも匹敵するとんでもない硬さと体力、攻撃力を誇る雑魚。
取り巻き連中の連続術攻撃と合わせてまともに攻撃を食らってしまうと敗走直結。
…なので多少の汚い手はやむを得ない!


陽炎で手番を取ったら野分で邪魔な雑魚をふっ飛ばし


茨城大将にオネンネしてもらって一気に集中攻撃!


エグいけど有効な作戦です。絶倫薬も美味しいです!

もらったお薬を回し飲みしつつ、六界に陣取ったらいよいよ狩り開始!…と突っ込んだ最初の戦闘で


あっさり出した!!


うぉおお!!太照天!動くなよ、危ないからそこでジッとしてなさい!

初手でつぼみが寝太郎進言、即採用!寝かせろ!
なんとしてもアイツを逃がすな!!


ストンと寝落ちた!さすが寝太郎上手だった聖汰の孫!つぼみは偉い!!

こうなったら邪魔な雑魚を野分でふっ飛ばしつつ


どりゃあああ!


てやぁーーーーっ!!


攻撃がエグくても何でも構わん!無事に太照天を取ることができました!

よかったー!強化の薬もそりゃ大事だけど、そもそも術書が取れなくちゃ目標達成できなかったから。

実は今月とっておきの大目標は「8月中に太照天の術をゲットし、かつ術習得者を輩出する」こと。そして来月は朱点童子に挑むため、決戦場まで駆け抜けます

つまり地獄巡り探索は今月だけの一回こっきりチャンスです。

とりあえず第一関門クリア!では次の関門、太照天の術を習得です。
一人じゃ足りない、せめて二人は習得して欲しい!

そもそも太照天の習得能力値は心の全値512、技の全値456と大変高度。


当家の蔵に2個だけあった朱ノ首輪を持参してるけど、それでも技の全値は306は必要


で、これが今のステータスで…あっ、行けそう…?

当主ノ指輪が外せないくるみは無理だけど、首輪付きの前提だとすももは既に全値クリア、獅央も技風があと4足りないだけ。お薬でなんとかなりそう!
つぼみは…ちょっと無理かもなー。技風227だとあと80近くアップしないといけないもんね。
もともと首輪はふたつだけだし、太照天はすももと獅央に覚えてもらおう。

目標達成が見えてきたので心の余裕も出てきて、後はひたすら笛を吹きまくり延々と薬を集めていくだけです!みんな頑張れ!


つぼみ「きゃー!こっち来ないで!寝てーっ!」


獅央「コイツ…いい加減に倒れろっ!!」


つぼみ「寝てー!!」


獅央「当主様、奥義の許可を!!」
くるみ「この後まだまだ先は長いンだよ!許さないね!」


つぼみ「寝てーっ!!!」



くるみ「ふん!あんたがアタシに円子なんて、塔の中でも雪が降るかもしれないね!」
すもも「言ってる場合か!こんなとこで倒れたりしたらブン殴るよ!」


つぼみ「寝てえぇぇ!!」
くるみ「アンタはそれしか!」 すもも「言わないのかーいっ!」

ほんとにすごく役に立ってるから全然文句はないんだけど、つぼみの寝かせたい進言は激しすぎてちょっと笑ってしまった。
どれだけ大きい敵が怖いんだ。ほんとつぼみはビビりっ子だな。

そんなこんなで途中何度かヒヤリとする場面もありましたが、


壱与姫も無事に回収できて


たっぷりと絶倫薬も仕入れ、くるみとすももに至っては戦勝点がカンストしました。

技力も限界だし、そろそろ撤収です。皆どれくらい強くなった?


ん?


つぼみの技風が太照天習得ラインの306をギリッギリで越えてる…!

これには凄くびっくりしました。
つぼみ、そうなのか…。この子すももの代わりに自分が朱ノ首輪を使って太照天を習得するつもりなんだ。
普段だったら朱点自らが作った呪いの装備なんか怖がって触るのも嫌がりそうだけど


体がフラつき始めたお母さんに呪いの首輪をはめたくなくて、必死で成長したんだね。

予感は当たった。来てしまいました。
くるみとすもも、やっぱり濃い血のせいで虚弱な体質のようです(これだけ「虚弱」って言葉が似合わない双子もいないと思うが)。

「こいつを付けて帰ればいいんだろ?」ってすももが取り出した朱ノ首輪をつぼみが横からパッて奪って、自分の首に掛けちゃうんだろうな。
ビビリのくせになにやってんだい!!およこし!!」ってすももがカミナリ落とすけど、この時ばかりは首輪を握ってしゃがみ込んで譲らなそう。

そしてこの子、筋力だったら実は誰にも負けないんだぜ。


どんなに叱られても絶対首輪を離さないつぼみを連れて、屋敷に帰還します



「どうしようもない頑固者だね!一体誰に似たんだか!」
「アンタに決まってる」
「それしか考えられないです」


ブリブリ怒ったすももとそれに呆れてるくるみだけど、健康度…



幸い投資の成果で高価な漢方薬が登場したところです。

冷え性かどうかは知らないけど二人ともまあ飲んで飲んで。

・1023年9月 七代目当主 くるみの手記

ふん、とうとう漢方薬のお世話になることになっちまった
しかも、すももと同時にってのが笑っちまう まったく情けないったらないね

だが薬のせいで身体はいくぶんマシに動くようになったようだ
あんな物ボッタクリのインチキじゃないかと疑ってたが、まずくて高いだけのただの汁ってわけじゃないようだね


けど 来月になっても同じように体調万全というわけにはいかないだろう

ねぇすもも
アンタも今ならまだ、そこそこ動けるンだろ?

呪いの首輪を嵌めてまであの術を習得してくれたアンタの子供達の心意気に、こうなったら賭けてみようじゃないか

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